今回訪れた目黒の「THE MASH TUN(ザ マッシュ タン)」さんは、目黒駅のすぐ近くでありながら、路地裏のビルの二階にありお店の看板もなく、店内もとても落ち着いた雰囲気。
お店の名前の「マッシュ タン」は、麦芽の糖化槽、仕込み槽の事なのだそうですが、バックバーを眺めれば、スタンダードなものからレアものまでウイスキーがずらりと並び、ウイスキー好きにはたまらない光景。ウイスキーは、ストレートで飲まれる方が多いとの事です。
これだけたくさんあれば、自分のお気に入りも探せるかも。
そのボトルの前の席に座って、そのウイスキーとの自分の思い出の記憶を辿ってみたりするのもいいかもしれません。
また2人でゆったりとした時の流れをという場合は、窓際にテーブル席も。
暗めの照明の中、仕事帰りの疲れた気分もリラックス。
ニーズによって使い分けができるのも嬉しいですね。
シングルモルトウイスキー山崎のコーナーがあったので、そのコーナー前のカウンター席へ。
希少な「山崎ミズナラ」のほか、「山崎シェリーカスク」、「山崎パンチョン」、「山崎バーボンバレル」などが並べてられています。
興味深かったのが、それぞれのウイスキーの前に置かれている小さなミニチュア樽。
山崎蒸留所のモルト原酒を貯蔵する樽は、樽の原料であるオークの種類、容積、山崎の貯蔵樽となるまでの来歴もそれぞれ異なり、そこで熟成した多様なモルトを加える事によって生まれるのだそう。
このミニチュア樽を手にとって並べてみると、色も大きさもだいぶ違うんだなぁという事が分かり、これらをぜひ飲み比べてみたくなりました。
そして更に山崎をたっぷり堪能できる、アイテムも。
山崎蒸留所にまつわるイラストが描かれたコースターです。
淡い色で描かれた絵が、気持ちを穏やかに、優しく山崎の世界観へ誘います。
山崎蒸留所にはまだ行った事がないのですが、ぜひ足を運んでみたくなりました。
そんな風に、山崎への想い高まったところで、まずは「山崎ミズナラ」を。
ミズナラ樽は、太平洋戦争の戦中から敗戦後にかけて、シェリー樽などの輸入が困難な時期に、サントリーが目をつけたものだそうで、北海道が主産地のオークの一種。
原酒が漏れやすく樽づくりは苦労の連続、しかも当時はブレンダーから必ずしも高い評価を得ていなかったのだとか。しかし数十年の時を得た現在、白檀や伽羅を思わせる香味は、日本だけでなく海外でも人気が
あるのだそう。
今回はロックで頂きましたが、ハードな切れと優しく包み込むような余韻。
一度飲んだだけで鮮明に記憶に残り、思い出すたびに美しい琥珀色とウッディな香りが記憶に蘇ってうっとりした気分になります。
こちらは、バーボンウイスキーの空き樽で熟成した「山崎バーボンバレル」。
180L容量の小樽から生まれたウイスキーで、内側を強く焼いている為熟成が早くすすむのだとか。
ロックで頂きました。
グラスを傾けて、氷が転がるたびにたちのぼる、バニラを想わせる力強い香り。
そして口の中でふんわり余韻が残る、上品な甘み。
時間をかけてゆっくり愉しみたくなります。
また「山崎バーボンバレル」は、水割りでも。
水割りは氷が溶ける分も考え、濃い目で出しているとのこと。
ロックよりも柔らかい味わい。
一つのウイスキーでも、飲み方でこんなに雰囲気が変わるんだと驚きました。
更に山崎では、マスターもプロデュースに参加されたという、「THE CASK of YAMAZAKI」も。
1つの樽の原酒を、そのまま瓶詰めしたシングルカスクウイスキーで、ボトリングされた年月、樽番号なども記載されています。山崎の世界をより深く追求されたい方には、ウイスキー原酒のつくりわけの技を楽しんで頂くこういうシリーズもいいのではないでしょうか。
こうして山崎を十分に堪能し、最後にもう一杯何か飲もうとマスターにおすすめを聞いたところ、「うちはソーダは、ザ・プレミアムソーダを使っているんですが、白州にあうんですよ」との事。
ぜひ飲みたくなり、シングルモルト白州12年をソーダ割で頂きました。
山崎の天然水でつくったこのソーダをマスターが選んだ理由は、ベースになっている水が柔らかく、あまりシュワシュワしていないが泡が長持ちするからとの事。
ソーダだけでも飲みたくなり、グラスに注いで頂き飲んでみました。
確かに口当たりがよくて、マスターとゆっくりお話しながら飲んでいても、泡が持つのが分かりました。
またウイスキーのおすすめの飲み方マスターに伺ったところ、やはりエイジングの若いものから順に飲んでいくのがいいんでしょうが、そういった事に囚われず、その日の気分によってお酒を変えるのもいいんじゃないでしょうか、との事。
マスターご自身も、いつもレアなウイスキーを飲んでいる訳でなく、その時の気持ちやシチュエーションなどで色々飲まれているのだそうです。
ウイスキーのお話をされる時のマスターの優しい笑顔から、ウイスキーへの熱い想いが伝わってきて、私ももっとウイスキーの世界を知りたい!という気持ちになりました。
新潮社
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